■タンクレストイレの基本構造と水漏れの仕組み
・タンクレストイレの概要
タンクレストイレは、従来のトイレとは異なり、水を一時的に貯めるタンクがなく、直接水道管から水を供給する仕組みを採用しています。これにより、タンクが不要となり、トイレの設置スペースをコンパクトにできるため、デザイン性や省スペース性が向上します。水圧によって水を勢いよく流すため、洗浄力が高く、1回あたりの水使用量も抑えられるのが特徴です。また、タンクがないため、タンク内のカビや汚れの心配が少なく、清潔さを保ちやすい点も魅力です。しかし、タンクレストイレは水道圧に依存しているため、低水圧の地域や建物では適切に機能しない場合があり、設置にはその点を考慮する必要があります。
・他のトイレとの違い
タンクレストイレと従来のタンク式トイレの主な違いは、タンクの有無と設置スペースにあります。タンクレストイレは、名前の通り水を貯めるタンクがなく、給水管から直接水を供給します。この設計により、トイレ全体がコンパクトになり、狭いスペースにも設置しやすいのが特徴です。一方、タンク式トイレは水を一時的にタンクに貯めてから流すため、トイレ本体が大きくなりがちです。また、タンクレストイレは水流が強力で一度に多くの水を流せるため、トイレ内の汚れを効果的に洗い流すことができます。ただし、停電時には水が流れにくいというデメリットもあります。
■タンクレストイレが水漏れする主な原因
・ホースや配管の接続不良
タンクレストイレの水漏れ原因として、ホースや配管の接続不良が挙げられます。ホースや配管の接続部分は、水圧や振動などにより時間とともに緩みが生じやすく、これが原因で水漏れが発生することがあります。特に、設置直後の点検が不十分だった場合や、長期間にわたりメンテナンスが行われていない場合、接続部分の劣化が進行しやすいです。これにより、水が少しずつ漏れ続け、気付かないうちに床や壁にダメージを与えることがあります。定期的な点検や、必要に応じた接続部分の締め直しが、水漏れ防止に効果的です。また、劣化が進んでいる場合は、早めにホースや配管の交換を検討することが重要です。
・ガスケットの劣化
ガスケットの劣化は、タンクレストイレの水漏れの原因としてよく見られる問題です。ガスケットは、水を通すパイプや接続部に取り付けられたシール材で、これにより水が漏れないように密閉されています。しかし、ガスケットはゴムやシリコンで作られているため、時間が経つにつれて劣化しやすくなります。特に、水道水に含まれる塩素やミネラル分がガスケットにダメージを与え、弾力性が失われてひび割れや硬化が発生します。その結果、ガスケットの密閉力が低下し、水漏れが生じる可能性が高まります。定期的なメンテナンスでガスケットの状態を確認し、劣化が見られた場合は早めに交換することが、水漏れを未然に防ぐために重要です。
・電子系統の不具合
タンクレストイレは最新の技術を搭載しているため、電子系統の不具合が原因で水漏れが発生することがあります。電子部品はフラッシュバルブやセンサーを制御しており、これらの部品が正常に機能しないと、水の流れを適切にコントロールできなくなります。特に、センサーの誤作動や電子バルブの不具合は、便器内部で水が流れ続ける状態を引き起こし、水漏れを誘発する可能性があります。さらに、電源の不安定さや回路のショートも原因となり得ます。このような電子系統のトラブルは、部品の経年劣化や配線の劣化により発生することが多く、早期の点検と修理が必要です。自分たちでは修理が難しいので専門業者による診断を受け対応してもらうようにしましょう。
・リモコントラブル
タンクレストイレの水漏れとして他にもリモコンや水栓ボタンのトラブルも考えられます。
このようなトラブルが発生した際に止水出来ず水があふれてしまうことが考えられます。
リモコンのトラブルが発生した際には電池の交換を行う事をおすすめします。
■その他原因
・水のつまり
トイレの詰まりは、タンクレストイレの水漏れと密接に関係しています。詰まりが発生すると、水が正常に流れず、便器から溢れたり、配管内で逆流することで水漏れが起こることがあります。主な原因としては、大量のトイレットペーパーの使用や異物の流入、トイレのお掃除シートを大量に流すことや老朽化した配管の問題などが挙げられます。特にタンクレストイレでは、洗浄力が従来型トイレに比べて弱い場合があり、詰まりが発生しやすいことがあります。詰まりを予防するためには、異物を流さないことや適切な量のトイレットペーパーを使用することが重要です。詰まりが起きた際は、専門業者に依頼することが推奨されます。
・バルブやポンプの不具合
タンクレストイレはタンクに水を貯めない代わりに水道管の圧力で汚物を流しています。
マンション、ビル、築年数が古い物件、山など高い場所にある物件では水圧が十分に足りず、そもそもタンクレストイレの取り付けができない場合もあります。お住まいの物件を再確認してみる事も重要です。特にブル部やポンプの故障は自身では対処のしようがないため
専門の業者に相談が必要になります。
・スマホ等の落とし物
スマホなどの小物を便器に落としてしまうと、水漏れの原因となることがあります。落とし物が便器内で詰まると、排水経路を塞ぎ、水流が正常に機能しなくなります。これにより、便器内部の圧力が変化し、接続部分や配管に過剰な負担がかかり、水漏れが発生する可能性があります。
また、スマホなどの電子機器が水に触れると、機器自体の損傷だけでなく、便器内の異物が取り除けない場合もあります。このような詰まりが原因で水が逆流したり、便器周辺に漏れが生じることがあります。落とし物を避けるためには、便器の周辺に置かないよう心がけるとともに、万が一落ちた場合は、早めに取り出し、専門の業者に点検を依頼することが重要です。
■タンクレストイレで水漏れが起きた際の対処方法
・止水栓をとめる
タンクレストイレで水漏れが発生した際には、まず第一に止水栓を止めるようにしましょう。止水栓を止める事でさらなる水漏れを防ぐことができます。各メーカーによってトイレの止水栓の場所も異なる為事前の確認は必要です。ウォシュレットがついているトイレに関しては、コンセントを抜いた後に止水栓を止めるようにしましょう。止水栓に関してもマイナスドライバーを右回転で硬くなるまで閉めるようにしましょう。
■水漏れが起きた際には専門業者に依頼するのが間違いなし!?
タンクレストイレの水漏れは、見えない部分でのトラブルが原因であることが多く、修理を自己判断で行うと更なる損傷を招く可能性があります。専門業者に依頼することが最も確実な対処法です。プロの技術者は、漏れの原因を正確に特定し、適切な修理や部品交換を行います。加えて、長年の経験に基づいた診断で再発防止策も提案してくれます。自分で修理を試みると、修理不良やさらなる損害を引き起こすリスクが高まるため、迅速で確実な対応が求められる水漏れ問題には、専門業者の利用が最も安心です。プロに依頼することで、トラブルの早期解決と長期的な安心を確保できます。
■まとめ
タンクレストイレの水漏れには、いくつかの主要な原因が考えられます。まず、接続部分の緩みや劣化が水漏れの一般的な原因です。特に、ホースや配管の接続が緩むと、水が漏れやすくなります。また、ガスケットの劣化も大きな要因で、長期間使用することでゴム部品が硬化し、密閉性が失われることがあります。さらに、便器内部の問題も無視できません。タンクの圧力が不安定な場合や、設置時の不具合が原因で水漏れが発生することもあります。これらの問題を早期に発見し、適切な対処を行うことで、水漏れのリスクを大幅に減少させることが可能です。定期的な点検と適切なメンテナンスを実施し、安心してタンクレストイレを使用するための予防策を講じましょう。
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